自作ギター / 作り方

完全ハンドメイドのギター制作工程を紹介

DIYでエレキギターを作りました!!
正真正銘、ハンドメイドのオリジナルギターです。市販の「自作キット」ではなく、木材から調達してゼロから作りました。

デザインはポールリードスミス(PRS)のギター ”CUSTOM 24” をそのまま再現しました。PRSのデザインが好きなので・・・ 

エレキギターを弾く方は挑戦する価値のあるDIYだと思います。
高くて買えない憧れのモデルのコピーを作るもよし、オリジナルデザインの形状にするのももちろん自由です。

バンド仲間やライブ等で「ギター何を使っているの?」と聞かれたら、勝ち誇ったように「自作」と答えましょう。

例えばアコースティックギターやヴァイオリンでは、ボディの共鳴を利用して音を出しているため良い音を出すには職人芸が必要になるのだと思いますが、エレキギターは、基本的にはピックアップで弦の振動を拾ってアンプに送るという楽器ですので、ピックアップと弦を正しく配置すれば音が出ます。
ただ、演奏のしやすさ、見た目のかっこ良さ等を実現しようとすると簡単にはいきません。(大変でした・・・)

私は土日に作業を少しずつ進めて数か月かかりました。間違いなくこれまでDIYをしてきた中で一番大変でした。それだけに達成感は格別です!

この記事では、自作ギターの作業工程を紹介します。

自作ギター 作れるものなの?
→かなり大変だけど情熱があればできます!

目次

木材の準備

まずは木材の準備です。
木材はネットで購入しました(アイチ木材加工/Aimokuさん:自作ギターのための木材を販売されています)。

下の写真左から、

ネック:アフリカン・マホガニー 角度14°付き セットネック用
指板:マダガスカル・ローズ 
ボディ(バック):アフリカン・マホガニー 厚み28mm
ボディ(トップ):ハードメイプル 厚み17mm

を選びました。木材も基本的にはポールリードスミス(PRS)のCUSTOM 24 を真似た構成になっています。

木材

設計

木材を加工する際に、原寸大の図を貼り付けて加工するため、図面を作成しました。
作図ツールは3D CADの「Fusion 360」を使用しました。

・製図ソフト(CAD)は必ず必要?
→有名ギター等はネット上に図面を公開している方もいますので、作図ツールが使えないという方はそれをダウンロードして使用するか、または目的のモデルの写真を拡大コピーする手もあります。製図ソフト(CAD)は必須ではありません。

出来上がったpdfファイルをネット上のプリントショップに注文し、原寸大の図面プリントを入手しました。(予備含め3枚を発注しています)

ボディ形状のカット

ボディ(バック)とボディ(トップ)の貼り付け

まずは2種類のボディ材を「タイトボンド」で貼り合わせます。
ボディ材の厚みはバック28mm、トップ17mmで合計45mmです。

ギター制作にあたり、木材の強力接着には定番の「タイトボンド」を使用しました。2つの木材が一体化するくらい強力に固定されます。

タイトボンド
フランクリン タイトボンド 115mL(4oz)

タイトボンドを塗って貼り合わせたらクランパーできつく締めておきます。
図面からボディ部分の形状を切り抜いて貼りました。

ボディ材の貼り合わせ

ボディをカット

ボンドが乾いたら、貼り付けた外形形状に沿ってジグソーでカットします。

次に、下の写真のようにリア側ピックアップの入る穴をあけました。(フロント側ピックアップの穴はネックとの接合の工程であけます)
MDFボードであける穴の形状のガイドを作成しておき、それをガイドにしてトリマーで削ります。
※トリマー加工の前に電動ドリル(ボアビットがおすすめ)で荒く削っておいた方がトリマー加工時の負担が少ないです(左の写真)。

トリマーについて

トリマーは個人的には一般のDIYにはそれほど使いませんが、ギター制作には必須と言って良い電動工具です。(追記:その後いろいろなDIYをしていくうちに、トリマーを使うことも多くなりました。)

先端に取り付けたビット(写真左)が高速回転して木材を削り、溝を作ったり凹形状を作成することができます。

トリマーとビット

トリマーは少し下に記載する工程の「トラスロッド溝作成」等でも使用しています。


京セラ(Kyocera) 旧リョービ トリマ MTR-42 軸径6mm 628617A 側面コード 【軽量(1.1㎏)&簡単切込深さ調整で初心者でも使える】

ネック形状のカット

外形カット1

次はネック用の木材のカットです。
ボディと同様、設計図の切り抜きをネック用の木材に貼り、外形線に沿ってジグソーでカットします。

ネック木材外形カット

トラスロッド溝を作成

エレキギターには、ネックの反りを矯正する「トラスロッド」がネックに沿って設置されています。
このトラスロッドを仕込む溝をトリマーで作成します。

トラスロッドは2ウェイ(どちらの方向にも反る)のものをAmazonで購入しました。

トラスロッド
Yibuy 460mm Length 9mm Dia ブルー スチールギターのトラスロッド Two Way

直線の溝を掘るために、写真のようにトリマーをガイドに沿ってスライドさせました。

トリマーでトラスロッド用の溝を作成

トラスロッドの溝が掘れました。(トラスロッドを固定するのは後の工程です)

外形カット2

厚み方向をラフにカットします。後の工程で削って整形します。
最終的に先端付近でのネック厚みを21mm程度にしたかったため、それより数mm大きめにカットしておきます。

ラフにカットした状態です。
先端部については、まず電動ドリルのボアビットを使って厚みを削りました。そのほうがトリマーの作業が楽になります。

その後トリマーを使ってヘッド部の厚みを整えました。
(すみません、厚み調整済みでヘッド穴あけ後の写真しか残っていません)

指板のカット、溝作成

弦長(スケール)について

主要メーカーの弦長(スケール:ナット~ブリッジの距離)は

Gibson : 628mm
Fender : 648mm
PRS : 635mm

となっています。今回はPRSの値を採用しました。
フレット数もPRS CUSTOM24 と同じ24個に設定します。

これ以外の弦長(スケール)にできる?
上記の弦長以外でも長くしたり短くしたり自由に設定できます。
→インターネットで「フレット計算」で検索すると弦長から自動計算するサイトが見つかります。

指板の外形カット

指板も木材に設計図を重ねて貼り付け後、外形カットします。
貼り付ける図には次の工程の溝切りのため、フレット位置の線を入れてあります。

フレット溝切り

フレット位置の線に合わせて溝を切ります。
「フレットソー」という専用工具を使用しました。取り付けるフレットの幅に合わせて刃の厚みを選択します。

フレットソー

フレット位置に溝を切っていきますが、まず溝を切る位置にカッターで繰り返し傷をつけます。
カッターで傷をつけたら指板図を剥がします。
その後フレットソーで慎重に溝を切っていきます。

ネック加工(トラスロッド設置、指板との接着、ボディとの接合部作成、etc.)

ヘッド穴あけ

ペグが入る位置に穴をあけます。
穴の位置は、PRSのギターを画像検索して拡大したものをプリントアウトして重ねて位置を決めました。

トラスロッド設置

この後の工程でネックに指板を貼り合わせますので、まずネックにトラスロッドを仕込みます。
トリマーで作っておいた溝にトラスロッドを入れ、両端に瞬間接着剤を塗布しました。

この上に指板を貼ります。

ポジションマーク用穴加工 / 指板とネックの接着

ポジションマーク用穴加工

指板にポジションマークを埋め込むための穴をあけます。

ポジションマークは直径6mmの白蝶貝のものを使用しました。
(大和マークさんにてネット購入)

ポジションマーク (径6mm)

指板に電動ドリルで直径6mmの穴をあけていきます。穴がポジションマークの厚みよりも深くなりすぎないように注意して少しずつ削ります。
ひとまず作業はここまでで、ポジションマークの固定は後ほど行います。

指板とネックの接着

指板とネックにタイトボンドを塗布し接着します。

指板に傷がつかないように、別の木材を挟んでその上からクランパーで強く固定して乾燥を待ちます。

右の写真の状態でタイトボンドが乾くまで放置します。

ボディ-ネックの接合部の加工<ネック側>

ボディとネックのドッキング部の加工です。
まずはネック側から。

トリマーでボディに当てる面の面出しをします。
写真のように、ネックの左右に板を置いて、トリマーのビット長さを調整しながら削りました。

ボディ-ネックの接合部の加工<ボディ側>

今度はボディ側の加工です。

先ほど加工したネックの幅に合わせてMDF材をクランパーで固定します。実際にネックをボディの上に仮置きしたところにMDF材を左右から押し当て、その状態でクランプしました。(左の写真)

トリマーで削る前に電動ドリルのボアビットで荒削りしておくとトリマー加工が楽になります。(右の写真)

MDF材をガイドにしてトリマーで削ります。
ボディ側の溝ができました。

ネックとボディを仮でドッキングしてみます。
うまく嵌まりました!
実際の接着は後で行います。

ネック整形

ネックをノコヤスリを使って整形していきます。
ギター作りにおいてノコヤスリも必須と言って良いアイテムです。

シントー のこヤスリ S E1101

厚みとアーチ形状を確認しながら削っていきます。
輪ゴムをはめると形状が確認しやすいです。(先達の知恵です)

最終的な調整は後程行います。

ポジションマーク設置

指板にポジションマークを入れます。

接着剤を塗布してポジションマークをはめ込みます。指板面から若干飛び出ますが、後ほど指板にRをつける際に一緒に削りますので今はこのままでOKです。

サイドポジションマークも設置します。
こちらも白蝶貝で、直径2mmです。電動ドリルで直径2mmの穴をあけ、接着剤を塗布してポジションマークを入れます。その後ネックとの段差が無くなるまでやすりで削ります。

次ページ:ボディ加工 → ネックとボディ合体 → 指板加工 です

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コメント

コメント一覧 (4件)

    • 正確にはわからなくなってしまいましたが、工具なども含めるとだいたい8万円くらいだったと思います。
      (安さを追求すればもっと安くすることも可能です。ピックアップをPRS純正品にしたりしたので高くなりました)

      ・木材
      1.3万円

      ・工具類(この時点で持っていなかったトリマーなどの電動工具、およびギター作成専用の工具)
      約3.9万円

      ・ギター部品
      メモが残っていないのですが、おそらく3~4万円だったかと思います
      ピックアップはPRS純正にしたので高くて確か2万円程度でした(記憶があいまいです)。ピックアップは安いものもあります。

  • コメント失礼します。
    私も同じくAimokuさんで木材を探しています。
    バックの木材38mmが販売されてないみたいなのですが、主さんは45mm板を購入されてから38mmまで削ってバック材として使用しているのでしょうか?

    • マホガニーをaimokuさんで厚み調整していただいて購入しました。厚み調整は無料でした。
      (マホガニーを28mmに厚み調整、表側はハードメイプルの17mm を貼り合わせて合計45mmにしました)

      aimokuさんのホームページの下の方にある「サイズ・グレードについて」
      http://aimoku.shop-pro.jp/?mode=f2
      の中に「厚みの加工について(無料)」と記載がありましたので、現在も無料でやってくれるようです。

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