準備・設計(ホームセンターとAmazonでつくるレスポール)

目次

準備・設計① エレキギターの構造について知ろう

ギターを制作するにあたり、まずはエレキギターの構造について簡単にまとめておきたいと思います。

「エレキギターを自分で作りたい!」となったらまずは基本的な構造を知っておく必要があります。
人によってはすでにある程度の知識はあるかもしれませんが、各部の名称は今後の説明でも出てくるのでおさらいを兼ねて確認しておきます。

とは言ってもここで覚える必要はなく、必要な時に参照していただければ良いと思います。

エレキギターの基本構造・名称

主なエレキギターの構造と名称です。

エレキギターの構造と名称

写真はギブソン社の「レスポール」です。
各社で若干の違いはありますが、主要な部品は共通しています。

次の項では各部品を少し詳しく説明します。

(自分で撮った写真または著作権フリーの画像を使用しています)

各部品の説明

1.ヘッド

ギターの先端部をヘッドと呼びます。
弦を巻き付けるペグを設置するための部位です。
メーカーによって形状(弦を巻くペグの取り付け位置)が異なります。

ギターのヘッド部
2.指板

ネックの表面に貼られる厚さ6mm程度の板で、フレットが打ち込まれます。(→8.フレット)
ローズウッドなど硬い木材が使用されます。

ギターの指板
3.ネック

ヘッドからボディまでをつなぐ部分で、厚みや幅が演奏性にも大きく影響します。
内部には「トラスロッド」と呼ばれる反り調整パーツが仕込まれています。(→15.トラスロッド)

4.ボディ

ギターの本体部分で、ピックアップやブリッジが取り付けられています。
複数の板を貼り合わせて作られることが多く、特に表面側に張られる板は見た目を左右します。

5.ペグ

弦を巻き付ける部品です。
回して弦の張りを調整し、チューニングを行います。

6.ナット

ヘッドと指板の境目にある部品で、弦が載る溝が切られています。
牛骨やプラスチック、真鍮などの材質があり音質に影響を与えます。

7.ポジションマーク

指板上および指板サイドにある目印で、演奏中にフレット位置を確認するためのガイドになります。

8.フレット

指板上に打たれた金属の棒で、1個ずれるごとに半音づつ音程が変わるようになっています。

9.ストラップピン

ギターを立って演奏する際に肩に掛けるストラップを固定するための部品です。

10.ピックアップセレクター

通常、エレキギターはピックアップ(→11)と呼ばれる音を拾う部品が複数搭載されています。
これを切り替えて音色を変えるためのスイッチです。

11.ピックアップ

弦の振動を電気信号に変える部品です。
これがあるからエレキギター、とも言えます。

ギブソンは主にコイルを2つ組み合わせた「ハムバッカー」タイプを搭載しており、フェンダーは主にシングルコイルを搭載するモデルが多いです。

12.ブリッジ

弦のボディ側の端を構成する部品です。(ナット~ブリッジ で弦長が決まる:下図参照)
弦高やオクターブ調整も行います。

13.テイルピース

ブリッジとは別に弦の末端を固定する部品です。主にレスポールタイプのギターで使用されます。

14.ジャック

シールドケーブルを接続する端子です。ここからアンプへ信号を送ります。

15.トラスロッド

ネック内部に埋め込まれた金属の棒で、ボルトを回転させることでネックの反りを調整することができます。

16.ピックガード

ギターを弾く際にピックでボディが傷つくのを防ぐ部品です。
特にフェンダー社のストラトキャスターのようなモデルでは大きなピックガードが特徴で、デザインの一部になっています。素材はプラスチックが多いです。

以上で本サイトに出てくるギター部品はだいたい網羅したと思います。
次のページはギターづくりに必要になる工具です。

余談ですが、筆者はギターが下手です。
社会人になってから始めました。
ギターをもらって、最初は河合音楽教室に半年くらい通って基本的なことを教わりました。
そこから本当に細々と続けていたところ、ひょんなことから念願のバンドを組めることになりました。
田舎のライブハウスでライブをするという経験ができました。
演奏技術は本当に無いので、完全に自己満足の世界ですが。
木工とギター、おすすめの趣味です。
「楽しむ」ことはAIで絶対に代替できないですから。

準備・設計② エレキギターづくりに使用する工具

エレキギターをゼロから作るための工具を見ていきましょう。

エレキギターをつくるとなると、やはり工具類が必要です。
どんな工具が必要なの?という疑問を持たれる方も多いと思います。

ここでは、実際に私が作った際に使用した工具を

・手動工具(一般工具)
・電動工具(一般工具)
・ギター専用工具

に分けて記載しました。
また、それぞれの重要度を[必須][重要][あると便利]の3段階で表しましたので、参考にしてください。

手動工具(一般工具)

まずは日曜大工で使われる手動工具です。

どれも実際にギター制作に使用した工具ですが、必ず必要というわけではないものもあるため、重要度も記載しました。
★★★(必須)
★★☆(重要)
★☆☆(あると便利)
の3段階です。

工夫すれば代用可能なものもありますが、快適に作業するためには ★★☆ くらいまでは揃えたいところです。

スクロールできます
工具 製品例 用途 重要度
ドライバー
https://amzn.to/3OqNwDv
ピックアップの固定や、ブリッジの位置調整など
(筆者は写真のような電工用ドライバーが握りやすく好みです)
★★★
えんぴつ、ハサミ・カッター・のり 木材にえんぴつで印をつける、設計図を切って木材に貼り付ける ★★★
タイトボンド
https://amzn.to/4aDrmFy
木材同士を強力固定する定番の木工用ボンド
木材が一体化するほどの接着力
ボディ接着、ボディとネック接着、指板接着など
(接着剤や塗料関係は最初面倒でも塗るときに手袋をするのがおすすめです。手を洗う方が面倒)
★★★
クランプ
https://amzn.to/4rtQ2HN
加工する木材を作業台に固定したり、木材を接着する際に圧着する
(一般の木工でもあると作業がとてもやりやすくなります)
★★★
マスキングテープ
https://amzn.to/46lx8ud
塗装時のマスキングだけでなく、目印をつけたり仮固定に使用 ★★★
紙やすり 木材のバリ取り、塗装前の下地処理、塗装後の磨き、指板Rの作成
番手は80番~1500番くらいまであると良いです
※裏が白い「目詰まり防止」のやつがおすすめです。裏が茶色いやつはすぐだめになってしまいます
★★★
サシガネ(直角定規)
https://amzn.to/4cci71D
長さの測定、直角の線を引く、直角の確認 ★★★
瞬間接着剤
https://amzn.to/4kLTafv
割れてしまった木材の補修、トラスロッドの固定 ★★★
ニッパー、ラジオペンチ
https://amzn.to/3OtDgdF
https://amzn.to/4cAGdDe
線材のカットなど ★★★
ノコやすり
https://amzn.to/4aEcAyd
ネックの成形、ボディの成形など
ハンドメイドギターには不可欠
(私はギターをつくるまで存在を知りませんでした)
★★★
ハンマー(プラハン)
https://amzn.to/3OkcZyy
フレット打ち込み、ブリッジの取り付けブッシュの打ち込み
(傷つけ防止のため頭はプラスチック製のものが良いと思います)
★★★
塗料、ニス
https://amzn.to/4qMQrUm
ボディ、ネックの塗装
(塗装に関してはラッカースプレー、オイルステイン等の手法もありますが、本サイトでは扱いやすい水性塗料、ニスを使用しました。→制作編㉑参照)
★★★
刷毛
https://amzn.to/3MHYLqv
塗料、ニスの塗布 ★★★
はんだこて、はんだ、フラックス
https://amzn.to/4kPrwyb
https://amzn.to/4aspNeK
ギター内部の部品の結線
フラックスははんだの密着性を上げる
★★★
線材 ギター内部の部品同士をつなぐ線 ★★★
デジタルノギス
https://amzn.to/472oGQF
寸法確認、穴の深さの確認
(デジタルの方が見やすいですがもちろんアナログノギスでもOK)
★★☆
作業手袋、ゴム手袋 電動工具の作業時は手袋がブカブカだと巻き込まれ危険なので、手にぴったりフィットするもの ★★☆
ウエス 塗料やタイトボンドのふき取り ★★☆
1m定規
https://amzn.to/4aEcHK9
フレット位置の寸法を測る、ナット~ブリッジの寸法確認など ★★☆
のこぎり
https://amzn.to/4qSf7Ls
ちょっとした木材カット
(電動工具のジグソーがあれば手ノコは必ずしもなくても良いですが、手軽にちょっと切りたいときがあります)
★★☆
アクリルカッター
https://amzn.to/4asEq1H
フレット溝を作成
(カッター→アクリルカッター→フレットソーの順で溝を掘るとやりやすい)
★★☆
耐水サンドペーパー

紙やすりと重複しますが、ボディをツルツルに磨いて光沢仕上げにする工程で耐水サンドペーパーがあると良いです
[#1500くらい]
★★☆
コンパウンド
https://amzn.to/4auP2x6
ボディをツルツルに磨いて光沢仕上げにする:最終仕上げ
[#3000~10000相当]
(コンパウンドで磨くと売り物のギターのように光沢が出て感動します)
★★☆
シールテープ
https://amzn.to/3ZK4BL8
結線部の絶縁 ★★☆
導電性塗料
https://amzn.to/46ZW4aI
木部に塗って導電性を持たせる:ノイズ対策のため
(本サイトではノイズ対策にもこだわりました→制作編㉒
★★☆
リーマー
https://amzn.to/46MfPCE
穴を広げる
(ドリルでできる穴は通常直径10mm程度くらいまで)
★☆☆
食い切り
https://amzn.to/3ZNSKM4
フレットのカット
(フレットのカット時にしか登場しないので、ペンチで代用するのもありかと思います)
★☆☆
砥の粉 木材の凹凸や木目の隙間を埋めて平滑にし、塗装がきれいに仕上がるようにする
(「サンディングシーラー」でも同様の効果があると思います)
★☆☆
センターポンチ ドリルで穴をあける位置の正確性を上げる ★☆☆
ヘルピングハンズ
https://amzn.to/4rtgKjH
はんだ作業時に「第三の手」になる
(ものすごく作業しやすくなります)
★☆☆
ノミ
https://amzn.to/4qOIOwS
ちょっとした削り加工
(注意:きれいに加工するには熟練が必要です。大工の正やんのYouTubeなんかを見ると簡単そうに見えるのですが、自分でやってみると全くうまくできないです)
★☆☆
金切りばさみ
https://amzn.to/4tM74T3
今回ギター背面のふたを薄いアルミ金属プレートで作成したので、金属プレートのカットに使用しました ★☆☆
プロトラクター ヘッド角度、ネック角度の確認
(まあ無くても良いかと思います)
★☆☆
作業台
https://amzn.to/4aZ4BNA
木材をカットしたりクランプ固定して作業する ★☆☆

以上が手動の一般工具です。

日曜大工をやる人でも、例えば「ノコやすり」などは馴染みが無いかもしれません。
私もノコやすりにはギターづくりで初めて触れました。
では「普通のやすりではダメなのか?」 というと、超絶頑張れば普通のやすりで代用もできるかもしれません。
ただ、ネックの整形などノコやすりがあるとガリガリ削れていくのに対し、普通のやすりだと時間がかかって日が暮れてしまいます。

ですので、やはり★★☆ くらいまではあった方がよいかなと思います。

電動工具(一般工具)

次に電動工具です。

重要度は手動工具と同様に
★★★(必須)
★★☆(重要)
★☆☆(あると便利)
の3段階です。

★★★の「ジグソー」「電動ドリルドライバー」「トリマー」は是非揃えたい電動工具です。

ジグソーは言ってみれば”効率的なのこぎり”のようなもので、曲線カットができることがギターづくりと相性が良いです。もちろん頑張れば手動のこぎりでも代用できます。

電動ドリルドライバーは穴をあけるのに必須です。
これは手動工具での代用が難しいです。

トリマーは使ったことが無い方も多いかもしれません。
ただ、ギターづくりにおいては非常に重要な電動工具になります。
ピックアップの収納部の穴あけや、ボディとネックを接合する部分の形状をきれいに作成するために欠かせません。
手動工具で代用するには強いて言えばノミになりますが、素人がノミを正確に扱うのは至難の業です。

スクロールできます
工具 製品例 用途 重要度
ジグソー ボディの形状カット、ネックの形状カット
曲線がカットできる
★★★
電動ドリルドライバー
https://amzn.to/4aNuIWE
各種穴あけ、ねじ締め ★★★
トリマー/トリマービット
https://amzn.to/4tLX1NB
ピックアップの入る穴あけ、ネック固定用の形状作成など ★★★
丸ノコ
https://amzn.to/4kQShT1
ネックの直線形状カット
(一般の木工DIYでは重要工具ですが、ギターづくりに関しては無くてもOKです)
★☆☆
電動サンダー
https://amzn.to/4rX2Rdq
紙やすりでの作業を時短できる ★☆☆

ギター専用工具

最後にギターづくり特有の工具の紹介です。

重要度は一般工具と同様に
★★★(必須)
★★☆(重要)
★☆☆(あると便利)
の3段階です。

特に★★★の「フレットソー」「指板用サンディングブロック」「ナットファイル」は一般工具での代用が難しいため、揃えておくのが必須です。

スクロールできます
工具 製品例 用途 重要度
フレットソー
https://amzn.to/46i1NbK
https://amzn.to/4rtV1bt
指板にフレットを差し込む溝を作成する専用ののこぎり(注意:フレットの幅と合わせる) ★★★
指板用サンディングブロック
https://amzn.to/4u5ta3d
指板の丸み(半径R)を削りだすためにサンドペーパーを貼り付けて使用。
[Rの代表値 ギブソン:305mm、フェンダー184mm/241mm PRS:254mm]
★★★
ナットファイル
https://amzn.to/4aEab6I
ナットに溝を作成する専用のやすり ★★★
フレットクラウンファイル
https://amzn.to/4qMSRm4
フレットの形を整える ★★☆
ボックスレンチ
https://amzn.to/4aKlQ3Q
ペグ、ボリュームノブ等の固定
(普通のレンチだと傷がつきやすい)
★☆☆

以上、一通り工具を紹介しましたが、いかがでしょうか。

どれもホームセンターあるいはAmazonで購入できるものです。
(ギター専用工具は普通ホームセンターには置いていませんので通販になります)

ただ、これでわかるようにギターを作ろうとするとそれなりに準備が必要になります。
全く日曜大工をやったことがない人にはハードルが高く感じるかもしれません。
これに関しては完成した時の喜びを信じてお小遣いをためるしかないです!

※電動工具に関しては、ホームセンターによってはレンタルをしている店舗もありますので、レンタルを利用する手もあります。

準備・設計③ 構想/設計

いよいよエレキギターを自作するために構想、設計をしていきます。

このページ(準備・設計③)では大まかな構想構想、詳細の設計図は次のページ(準備・設計④)に記載します。

まずはこんなギターが欲しいという構想をして、仕様を決めます。
何から考えてよいかわからないという人も、以下の順を追っていけば決められると思います。

設計図についてはハードルが高く感じるかもしれませんが、手書きでも頑張れますし、フリーの製図ソフトを利用する方法もあります。
「製図ソフトなんて使えない!」という方にもそのまま使える設計図を載せておきますのでご利用ください(→準備・設計④)。これをプリントして、ボディ外形だけ変えることもできます。(ボディの形状は手書きでもOK)

全体の流れ

構想、設計するにあたりまずは全体の流れを見ておきましょう。

STEP
ギターの形や構成を考える(構想)

ボディの形や部品構成は憧れのモデルをコピーしてもよいし、もちろん完全オリジナルでもOKです。
※ベースとするモデルがあると考えやすいです。
ちなみに、今回このサイトで作成したギターは主にギブソンのレスポールとPRSを参考にしています。

・弦の長さ(スケール長:設定方法は下記に別途記載)
・フレット数
・ピックアップの仕様
・ボリューム、トーンノブのレイアウト
etc. を考えます。

STEP
設計図を描く(→準備・設計編④に記載)

ギターを作るにあたってよりどころとなる設計図はぜひ作成しておきたいです。
製図ソフトを使って作成してみるもよし、大きな紙に定規を使って手書きしてもOKです。
実際に設計していく手順は「準備・設計編④」に別途記載しています。

(設計図の例)

設計図は等倍でプリントアウトして、加工する木材に貼り付けて作業します。

次の項では構想設計をします。

エレキギターの構想設計

それではいよいよギターの設計構想に入ります。
まずは弦の長さ(スケール長)とフレット数を決めることから始めるのがよいと思います。

弦の長さ(スケール長)を決める

スケール長というのは、下図のようにナット~ブリッジまでの弦の長さです。
なんと(?)、自作ギターではこの長さを自由に設定できます。

弦の長さが長いほど弦のテンションが高く、短いほど弦のテンションが低くなります。
そのため、弦長が長いほど張りのある音になり、短い場合は軽い力で弦を押さえられます。

●代表的なスケール長

各メーカー、モデルの代表的なスケール長は表のようになります。

代表例 スケール長
フェンダー : ストラトキャスター、テレキャスター、ジャズマスター
”フェンダースケール”
648mm
(25.5インチ)
PRS : カスタム24 635mm
(25インチ)
ギブソン : レスポール
”ギブソンスケール”
628mm
(24.75インチ)
フェンダー : ムスタング、ジャガー 609mm
(24インチ)

ちなみに、25.5インチのフェンダースケールを「レギュラースケール」、24.75インチのギブソンスケールを「ミディアムスケール」等と呼ぶのは日本特有の呼びかたです。

これらのスケール長から選んでも良いですし、自由に設定してもOKです。
次の項に記載するように、どんなスケール長でもそれに合わせたフレット間隔を設定すれば正しい音程にチューニングできます。

フレット間隔、フレット数を決める

スケール長を決めると、フレット間隔が自動的に決まります。

フレット間隔

代表的なスケール長について、ナット(0F)を基準に1F、2F、・・・ までの距離を示したのが次の表です。
スケール長は自由に決められますが、フレット間隔は勝手に変えてはいけません。

代表的なスケール長とフレット間隔
自由にスケール長を決めたいとき

せっかくオリジナルギターをつくるのだから、スケール長も好きなように設定したい! という場合は好きなスケール長に対するフレット間隔を計算できます。

スケール長をLとすると、ナットからnフレットまでの距離 dnは次のような式になります。
(数式アレルギーの人、安心してください。生成AIにスケール長XXmmのフレット間隔の表を出してと依頼すれば出してくれるはずです)

dn : ナット~nフレットまでの距離
L : スケール長
n : フレット番号

●計算例

スケール長 600 mm とした時の1フレット目 を計算してみます。
L = 600, n = 1 を入れればよいので、

33.22mmと計算されます。
同様に n = 2、3、・・・を入れればそのフレットまでの距離が出せます。

フレット数について

多くのエレキギターのフレット数は21、22、24フレットです。
例外はありますが代表的なモデルでは以下のようになっています。

フェンダー(ストラトキャスター、テレキャスター):ヴィンテージ品 21フレット、現行品 22フレット
ギブソン(レスポール):22フレット
PRS:24フレット

自作ギターでは当然フレット数を自由に決められるので、例えばストラトキャスターのボディ形状でフレット数を24にして作ることもできます。

ピックアップ仕様を決める

①準備編でも触れましたが、ピックアップはギブソンが「ハムバッカー」、フェンダーが「シングルコイル」のモデルが多いです。

一般にシングルコイルは明るくクリアな音質で、ハムバッカーは太く高出力です。

本サイトの作例では、ノイズに強いハムバッカー・ピックアップ×2 を採用しました。

本サイトで使用したハムバッカーピックアップ→ https://amzn.to/4tSZlTo

本サイトで使用したエスカッション(ピックアップ周囲の固定部品)→ https://amzn.to/4cpGgBZ

ブリッジ、テイルピースの種類を決める

弦のボディ側の端となるブリッジにはストラトキャスタータイプのように弦端の固定を兼ねているもの、レスポールタイプのように弦を載せるだけのブリッジ部と弦端を固定するテイルピースに分かれているものがあります。

本サイトの作例ではレスポールタイプのブリッジ+テイルピース構成を採用しています。
(ストラトキャスタータイプの方が部品数が少ないので作るのは少し楽です)

他に、トレモロアームを取り付けられる フロイドローズタイプ等があります。
アーミングをしたい場合はアームを取り付けられるタイプを選定します。

ヘッド形状/ペグの配置

・ヘッド形状
ヘッドの形状は、弦を巻きつけるペグの配置に関係しています。
ギブソンはペグを両側に3個ずつ配置、フェンダーは片側に6個配置 しています。

必ずしもこのどちらかにする必要はありません。(左右に「2個/4個」や「1個/6個」 で配置するのも良いかもしれません)

・ヘッド角度
ギターを横から見ると、ヘッド角度に角度がついています(下図の矢印)。
これはナットに弦を押し付けて安定させるためです。

よくあるヘッド角度はギブソン17°、PRSは10°、フェンダーは0°です(例外あり)。

フェンダーは指板部に対してヘッド部が一段落としこまれていますが、角度はついていません。
このため、「ストリングリテイナー」という部品で角度をつけています。

本サイトでの作例はギブソンの17°を採用しましたが、フェンダーのように角度なし+ストリングリテイナー でもOKです。

指板幅、ネック厚み

・指板およびネックの幅について

ナット付近の幅①が43mm程度、最終フレット付近の②が57mm程度となるのが一般的です。
演奏性を考えると自分の手持ちのギターを採寸して、それに合わせて作るのも良いと思います。

・厚みについて

ネック厚みは演奏性に関わるところです。
大まかに言ってギブソンは厚め、フェンダーは薄め です。

ギブソン(例) 1フレット付近:21mm 12フレット付近:23mm
フェンダー(例) 1フレット付近:20.5mm 12フレット付近:22.5mm

指板厚みは各社6.35mm(1/4インチ)です。

ネック厚みは後で削りながら調整できるので、設計段階では仮で決めておけばOKです。

ボディの形状

・形状は自由

ボディ形状は自由に設定してOKです。
実在のモデルの写真を拡大コピーして使っても良いですし、完全にオリジナルでデザインして手書きしても良いです。

アコースティックギターの場合はサウンドホールをうまく共鳴するように設計するなどギター単体で音を増幅させるノウハウが必要ですが、エレキギターの場合は弦の振動をピックアップで拾ってアンプで増幅するので、外形形状を変えたところで全く問題ありません 笑(音質こだわり派の人からは怒られそうですが、第三者には絶対に形状による音質差は聞き分けられないです、というか自分で作っているので良しとしましょう)。

・厚み

本体部の代表的な厚みと木材構成は下表のようになっています。
ギブソンレスポールは厚い傾向です。

<代表例>

レスポールは重くて肩が凝りそうなので、「薄いレスポール」をつくるのもありです。

木材についてはこの通りにする必要はありませんが、広葉樹(ハードウッド)をするのが良いと思います。
ホームセンターで最も安く入手できるSPF材や杉材だと反りが発生しやすいと予想されます。

ツマミ(ボリュームノブ、トーンノブ)の配置

ボリュームノブ、トーンノブの代表的な構成は以下のようになります。
これに関しては好みのモデルを真似るのが良いと思います。
(知識のある人はもちろん独自仕様にしても良いです)

メーカー/モデル ノブ構成 特徴
ギブソン/レスポール Vol×2, Tone×2 各ピックアップ独立して音量、音色を調整
フェンダー/ストラトキャスター Vol×1, Tone×2 シンプル操作
PRS/Custom24 Vol×1, Tone×1 シンプル操作

参考にするモデルからボリュームノブ、トーンノブの個数を決め、各ノブの配置とスイッチの配置を決めます。

スイッチを含めた配線などの詳細は制作編に記載します。

ボディとネックのジョイント方法について

・ジョイント方法

ボディとネックをジョイントする方法は、ねじで固定する「ボルトオンネック」、接着剤で固定する「セットネック」があります。
代表的なメーカーのジョイント方法は

ボルトオンネック(ねじ固定):フェンダー
セットネック(接着固定):ギブソン、PRS

です。
本サイトではボディとネックを接着剤で固定する「セットネック」を採用しています。

・ボディとネックの角度

下図に示すネックの仕込み角度は、ストラトキャスターは0度、レスポールで3~5度(時代やモデルによる)です。

レスポールではブリッジの高さが高く、ネックに角度を持たせることで弦の高さがちょうどよくなります。

ネックの仕込み角度:ブリッジの高さにより決める

です。

具体的な設計例は次の「準備・設計編④ 図面の作成」に記載したいと思います。

実際の設計 → 準備・設計編④に記載

どのようなギターを作るか構想は決まったでしょうか?

これをもとに設計図を書いていきます。

具体的な作図手順については「準備・設計編④」に記載しましたのでそちらをご参照ください

準備・設計④ 図面の作成【ダウンロードできる設計図あり】

自作するギターの構想はできましたでしょうか?(構想がまだの人は 準備・設計③ を参考にしてください)

このページでは実際に設計図を書いていきたいと思います。

また、「設計図なんて書けない!」という人は参考にpdfの設計図を置いておきますので、お好みでアレンジしてご利用ください。

図面の作成手順

実際に順番に作図していきます。

ここでは、以下のような仕様のギターを例に作図してみます。

・スケール長 635mm
・フレット数 24
・ピックアップ ハムバッカー×2個
・ブリッジ レスポールタイプのブリッジ+テイルピース
・ヘッド形状 レスポールタイプ(ペグを両側に各3個)
・ヘッド角度 17度
・ボディとネックのジョイント セットネック(接着固定)

では実際の作図ステップを見ていきましょう

STEP
指板を作図

スケール長635mm、フレット数は24として指板を作図します。
※各フレット間隔の寸法は前項「準備・設計編③ 構想/設計」に記載しています

まず、指板の幅と長さは下図のように設定しました。

フレットの線を書きます

STEP
ブリッジを配置

弦の終端となるブリッジを配置します。

ここで弦の長さに関するノウハウなのですが「6弦は4mm長く」なるように設定します。
今はスケール長635mmなので6弦が639mmになるようにブリッジを配置します(下図)。
つまり、ブリッジは斜めに配置することになります。

弦が細い1弦は理論値と大きな違いが出ないのですが、6弦側は弦が太いことが影響して実際に振動する長さが635mmより短くなるため両端を長くしておく必要があるためです。
「4mm」というのはギター制作業界の経験からくる値のようです。

なお、ブリッジの距離の調整は作りながらやりますので、ここでの作図は正確無比である必要はありません。

STEP
ボディを作図、ピックアップを配置

ボディの外形作図とピックアップの配置を行います。

フロントピックアップは下図のように指板の終端に隣接させて設置します。
リアピックアップはブリッジ寄りに置きます。

今回ボディの外形形状は、レスポールの写真をキャプチャーして図面上に重ねて作図しました。
(ちなみに下図でリアピックアップ位置が重なっていないのは、本家レスポールは22フレット、今作図しているのが24フレットという違いetc.のためです)

STEP
ネックおよびボディとネックのジョイント

ボディとネックをねじ固定する「ボルトオンネック」にするか接着固定する「セットネック」を選択します。
ここでは、ボディとネックは接着固定の「セットネック」方式とします。

指板(厚み6.35mm)の裏側にネックを作図します。
下図のイメージです。

ここで、ネック終端はフロントピックアップの入る部分の端部までにするのがおすすめです。

横から見た図も作図します。

ネック厚みは1フレット付近で21mm程度、12フレット付近で23mm程度ですが、設計図上は数ミリ厚めに作図しておいて、実際に削りながら調整するのが良いと思います。

ボディとネックのジョイント角度

ネックの仕込み角度は、使用するブリッジに弦の高さが合うように設定します。

今回の例では、レスポールタイプのブリッジ+テールピースを使用します。

今回購入したブリッジの説明書には高さ10.7mmと記載がありましたが、実際は下図のように弦の乗るサドルの高さもあります。

また、これがブリッジの一番低い状態であることを考えて、これより少し高い位置に弦が来るように設定します。

今回の作図例でネックの仕込み角度とブリッジ位置の弦高さを確認してみると、

ネックの仕込み角度1.5°➡ ブリッジ位置の弦高さ 12.3mm
ネックの仕込み角度3°➡ ブリッジ位置の弦高さ 16.2mm

となりました。(ネック角度1.5°のままネック全体の高さで調整する方法もあります)
1.5°だとブリッジが一番低い状態でちょうどよくなるため調整しろがありませんので、ネックの仕込み角度 3°くらいが良いと思います。
(※もちろんスケール長等にもよるのでどんなときも必ず3°が良いとは限りません。作図で確認しましょう)

(作者の補足)
実を言うとネックの仕込み角度1.5°で作成してしまいました。
結果、まさにブリッジ高さの下限でちょうどよい弦高さになりました。

STEP
ノブ、スイッチの配置

ノブとスイッチを配置します。

今回レスポールと同様のコントロールにするため、volノブ×2、 toneノブ×2、ピックアップセレクターを配置します。

背面にノブ類の収納・配線の加工をします(次のステップで記載)。
ノブ類は一か所に集まっていた方が加工が楽なので、ピックアップセレクターは本家と違ってvolノブの近くに配置しました。
もちろんオリジナルに忠実に配置するのもOKです。

STEP
背面図(ノブ類収納、配線のための加工箇所)

vol / tone ノブ、ピックアップセレクターを収納する領域は背面からボディをくり抜くようにします。
くり抜いた部分のボディ厚みは8mm程度にします。
適切な厚みは選定した部品により若干異なると思いますが、実際に加工しながら調整すればOKです。

※今回背面から加工する構想ですが、ボディおもて面からくり抜いてピックガードで蓋をする方法もあります

STEP
ヘッド形状、ペグの配置

ヘッド形状は、ボディ形状と同様に自由にデザインできます。
ペグの配置は下図の例ではギブソンのようにペグを両側に3個ずつ配置しています。

ヘッド角度をつけます。
ここではギブソンの17°を採用します。

STEP
完成

一通り作図しました。

ストラップピンの位置などは後で作りながら考えれば良いと思いますが、もちろん設計しておきたい方は図面に入れておいてOKです。

※次項で図面の作例を紹介しています

図面の作例

図面をいくつか置いておきますので、ご自由にお使いください。

作りたいフレット数や弦長に近いものを選んで、ボディやヘッド形状を変えるのが良いのではないでしょうか。

図面例1(スケール長628mm / フレット数22)

レスポール相当のスケール長とフレット数です。

●スケール長628mm フレット数22 ネック図面

●スケール長628mm フレット数22 ボディ図面

図面例2(スケール長648mm / フレット数22)

ストラトキャスター相当のスケール長とフレット数です。

●スケール長648mm フレット数22 ネック図面

●スケール長648mm フレット数22 ボディ図面

この図面は形状がレスポールのもので、ピックアップもハムバッカー×2となっています。
本来ストラトキャスターだとシングルピックアップ×3だったり、ヘッド形状もペグが6連だったりとストラトキャスターを忠実に再現したい方はアレンジが必要です。
今後ストラトキャスター仕様のものも作成できればと考えています。

図面例3(スケール長635mm / フレット数24)

上記の「図面の作成手順」で例としたものです。

PRS相当のスケール長とフレット数です。

<準備中!!>

準備・設計⑤ 木材の準備

設計図の準備はできたでしょうか?

このページでは木材を準備したいと思います。

当サイトでは「ホームセンターとAmazonでつくる」を目指していますので高級品は使いません。
ただし、極力「広葉樹(ハードウッド)を」使うことをおすすめします
最安を狙って安価なSPF材などを使用すると、最初は良くてもしばらくすると大きな反りが発生するリスクがあります。(木工家具などのDIY経験から)

広葉樹は高級家具にも使われ、硬くて重い木材です。
広葉樹の例:メイプル、オーク、タモ、チェリーなど
(エレキギターでは他にマホガニーやローズウッドなどが使用されていますが、これらはホームセンターではなかなか売っていません)

なお、普通ののホームセンターで入手できるのは「集成材」という継ぎはぎ材になります。
継ぎはぎの無い1枚板は基本的にはホームセンターには売っていませんし、高価になります。
ここでは基本的に「ホームセンターで入手できる広葉樹の集成材」を選びたいと思います。

「本物と同じ木材で作りたい!」という方は、この章の最後にレスポールやストラトキャスターで使われている材料と厚みの一覧を記載しておきますのでご参照ください。
これらの木材は専門店(アイチ木材など)で通販で購入するのが良いと思います。

ボディの木材

設計図のボディのサイズより大きめの板を選びます。
厚みについては今回トータル45mm前後としたいと思います。

ホームセンター(カインズ)でメイプル、チェリーの集成材が売っていましたのでこれらを貼り合わせて使用します。

(今回の例)
①ボディトップ(おもて側):メイプル集成材 幅350mm×長さ600mm 厚み20mm
②ボディバック(裏側) :チェリー集成材 幅350mm×長さ600mm 厚み20mm

厚みは①②合計で40mm なので、ターゲットの45mmには少し薄いです。
そこで、①②の間に4mmのベニヤ板を挟むことにしました。

これらを貼り合わせることでトータル厚み44mmとなります。

木材はちょうどクリアランスセールでした↓

ネック・指板の木材

ネックの木材

ネックに関しては特にヘッドに角度を持たせる場合、ある程度の厚みを持った木材が必要になります。
今回、下図のように一枚の板から断面形状を切り出して貼り合わせることにします。

ネック:チェリー集成材 幅350mm×長さ910mm 厚み20mm (下図のようにカットし貼り合わせる)

今回このように貼り合わせて作成しますが、専門店ではひとかたまりの木材として入手可能です。

指板の木材

指板についてはすみません、ホームセンターで良い材料が見つからなかったので専門店(アイチ木材)に頼ってしまいました。
やはり指板は黒い色で作りたかったので・・・

一応、ホームセンターで購入する場合を想定して、厚みを指板設計値の6.35mmに削るのは自分でやることにします。
(本来、アイチ木材では厚みは指定すれば削ってもらえます)

指板:インドローズ 長さ530mm 幅60-70mm 厚み8mm (アイチ木材の通販)

本物と同じ材料にしたい人は・・・

「実物のレスポールやストラトキャスターと同じ材料でつくりたい」という方のために、各モデルの代表的な木材について記載しておきます。

ホームセンターでは入手できないため、専門のwebサイト等で購入することになります。

以下は、準備編③に記載した表から木材の種類を青字にしたものです。

これで一通りの木材が揃いました。

次からはいよいよ「制作編」に入ります!

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